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 免疫システムは、抗体DNAのランダムな再編成と突然変異によって、100万通り以上に及ぶ抗体を準備し、この中のどれかがいざという時に役立てばよいという戦略を採用している。つまり、無作為に大きな過剰を作り出すことによって抗体の多様性を生み出し、不測な事態に備える仕組みを構築している。これは、人間が設計図に基づいて構造物を効率的に構築する方法に比べて、極めて対照的な構築方法である。

 多様性を生み出す無作為な過剰さは、未知の環境との遭遇に対して、豊穣な選択肢を与える。過剰さは、一見無駄が多いように見えるが、超長期的な視点に立てば、想定外の事態に対する最良な対策であるということは、過去数億年にわたり生命が連綿と続いてきた事実が証明している。過剰は効率を凌駕する。

 なお、脳内神経回路網を数理的にモデル化した階層型のニューラルネットワークが、入力層と出力層の間に設ける中間層を深くする(階層数を増やす)ことで、多くの問題に対して、従来の方法を大きく上回る性能を発揮している。層数の量的増大が複雑かつ高度な情報処理を行う可能性を広げている。


 物理学者のフィリップ・アンダーソンは、「More is different」という有名な言葉を残している。これは、量が増えると、集団として新たな性質が加わる(様相が変わる)ことを表した言葉のようで、「量の変化が質的変化を伴う」ことを端的に表している。【N.Y】

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