CASE STUDY

建築物の減衰

建築物では地震や風の影響で一時的に揺れが生じますが、その振動はしだいに小さくなり、やがて静止していきます。この現象を「減衰」と呼びます。本コラムでは、建築物における減衰の基本的な考え方と、構造解析での取り扱いについてご紹介します。

「減衰」の要因と指標

建築物の減衰の要因は、「部材の塑性変形によるエネルギー吸収や熱エネルギーへの変換など建築物内部でのエネルギー消費」と「地盤や周辺の空気などの外部へのエネルギーの逸散」の2つに分類されます。ここからは建築物内部でのエネルギー消費のうち、「建築物自体の減衰」について説明します。なお減衰の大きさを表す指標としては、無次元の減衰定数が用いられます。

減衰定数は構造内に蓄えられる弾性歪エネルギーに対して、「構造内外で吸収されるエネルギーの比」として定義されます。

構造解析における「減衰」の意味

構造解析における減衰は、建築物の時刻歴応答解析における最大層間変位に影響を与えます。実際の地震動などに対して構造設計をした建築物がどのような挙動をするかを正確に把握するためには、建築物の減衰を適切に評価することが必要となります。

参考として日本建築学会「建築物の減衰と振動」では、減衰に関する理論と解析モデル、建築物の減衰の実測方法、各種建築物の減衰の実測データベースなどが記載されています。

建築物の構造種別ごとの「減衰定数」の例

・鉄骨造 :2%~5%
・RC造  :3%~7%
・木造  :2%~4%

参照元:

鉄骨造およびRC造:「 JIS A 3306 建築構造物の設計の基本-構造物への地震作用 (2020年) 」

木造:既往の振動台実験のデータの蓄積による

まとめ

構造種別ごとの既往の知見により、減衰定数の一定の目安は存在しますが、構造解析や構造設計をする上でこのような知見をどのように取り扱うかは、既往の知見の背景にある理論や意味を把握したうえで設計者が適切に設定することが重要だと言えます。

2026年5月29日
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