鉄骨造ルート3とは?
建築物は、地震などの大きな力を受けた場合でも倒壊しないことが求められます。
鉄骨造では、建物の規模や形状に応じて複数の構造計算方法があります。その中でも「ルート3」は、大地震時の建物の粘り強さ(変形能力)まで確認する、より詳細な計算方法です。

大地震時に建物が急に壊れないための確認
地震によって建物が大きく変形した場合、「どのように壊れるか」が重要になります。
理想的な壊れ方は、柱ではなく梁が先に降伏する状態(全体崩壊)です。一方、梁より柱が先に降伏する容態(局部崩壊)は特定の階が潰れるような壊れ方となるため危険な場合があります。
そのため、柱・梁・接合部の強さのバランスを確認することが重要です。
良い壊れ方(全体崩壊) : 建物全体でエネルギーを吸収し、急激な耐力低下を防ぎながら粘り強く変形します。
悪い壊れ方(局部崩壊) : 一部に力が集中し急激な耐力低下の可能性があります。

柱と梁の強さの確認方法
STKR材を使用する場合
柱が梁より先に壊れないように(全体崩壊となるように)、以下を確認します。
柱の強さ > 梁の強さ × 1.5倍
また、1階柱脚については地震時の力を割増して安全性を確認します。
BCR材・BCP材を使用する場合
柱と梁の強さを比較し、建物の壊れ方(全体崩壊か局部崩壊か)を判定します。
局部崩壊となる場合は、柱の耐力を低減して建物の性能を再評価します。
柱の強さ > 梁の強さ × 1.5倍 →全体崩壊
柱の強さ < 梁の強さ × 1.5倍 →局部崩壊

構造特性係数Dsとは?
構造特性係数Dsとは、「建物がどれだけ地震エネルギーを吸収できるか」を表す数値です。
数値が小さいほど、建物が粘り強く、必要な耐震性能は小さくなります。

Dsを小さくするために必要な条件
柱・梁が十分な粘り強さを発揮するため、以下を確認します。
①接合部の強さ :柱や梁そのものより先に、接合部が破壊しない(接合部が十分強い)こと。
②梁の横座屈がないこと :梁が横方向に倒れるような変形を防ぎます。
③柱脚の安全性 :柱の根元部分が地震時にも十分な強度・変形能力を持つこと。

鉄骨造建築物で確認する主な項目
建築基準法では、構造以外にも多くの安全確認項目があります。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 構造安全性 | 地震・風などに対して倒壊しないか |
| 材料 | 使用する鋼材などが適切か |
| 接合部 | ボルト・溶接部が安全か |
| 柱脚 | 柱の根元が安全か |
| 荷重 | 建物重量・積載荷重・積雪など |
| 変形 | 揺れによる変形が許容範囲か |
| 耐火性能 | 火災時の安全性 |
| 基礎 | 地盤へ安全に力を伝えられるか |
関係する主な法令
鉄骨造建築物には、安全性確保のため各種法令による基準が定められています。
| 分野 | 主な規定 |
|---|---|
| 建築物全般の安全性 | 建築基準法 第20条 |
| 構造計算方法 | 令第81条~82条 |
| 保有水平耐力計算 | 令第82条の3 |
| 層間変形角の確認 | 令第82条の2 |
| 鉄骨造の規定 | 令第63条~70条 |
| 荷重・地震力 | 令第83条~88条 |
| 材料品質 | 法第37条 |
| 耐火・防火 | 法第27条、令第107条以降 |
| 基礎・地盤 | 法第19条、令第38条 |